極限の強弱の証明 〜その1〜 発端

 

 先日数学3まで学んでいる生徒の一人が、とある問題の中に と書かれているのを見つけ、これが成り立つ理由を知りたいと言ってやってきた。その問題では、それ自身の証明は要求されていなかったし、堂々と「成り立つことを用いてよい」とまで書いてあったが、個人的に証明してみたいということであった。

 

 数学3の入試問題を学んでいくと、これに限らず、次のような極限が必要となることが多い。

  ア:    イ: 

 

 極限は基本的には「代入」すればよい。たとえば、

  ウ: 

  エ: 

  オ: 

 などである。ただし、エやオはそのまま「代入」しても、 の形になって極限が決まらない。これを不定形というが、その場合でも上のようにうまく変形できれば、極限が求められることもある。

 ところがア・イは、 の形の不定形である上に、うまい変形もできない。もちろん生徒の持ってきた問題も同じである。

 

 このようなとき、もしも証明が要求されていなければ、次のような「強弱の関係」が知られていることを利用する。

 

<極限における強弱の関係>

   ← 弱   ≪ ・・・ ≪  ,   ,   ,   ≪ ・・・ ≪   強 →

 すなわち、指数関数・対数関数・ の影響力は、

  ● 指数関数が一番強く、対数関数が一番弱い。
  ●  同士では、指数が大きいものほど強い。

 

※参考 指数関数・対数関数 のグラフ。強いものほど、 のときに への発散が速い(=急カーブを描いている)。

  

 

 これを上の極限ア・イに用いるには、

  ア:分母の の影響力のほうが強いので、分子 を「定数」のようにみなし、

     

  イ:分子 の影響力のほうが強いので、分母 を「定数」のようにみなし、

     

 というように考える。

 

 この「強弱の関係」に照らし合わせれば、 が成り立つことはすぐに分かる。ただし、それは証明にはならない。あくまでこの強弱はイメージに過ぎないからだ。

 

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