イマセン第22回 ベクトルをつなぐ 〜その2〜

 

 どちらの問題についても、いきなり点 P の座標を求めることはできない。

 その代わり の成分を求めることはできるから、

     

 と考えて、点 P の座標を求めよう。これがタイトルにもある「ベクトルをつなぐ」ということだ。

 

 その1でヒントにあげたとおり、それぞれのベクトルの成分を求めるには「絶対値」と「偏角」を正確に読み取らないといけない。その作業もけっこう大変だから、ゆっくりやっていこう。

 

 解答1. , 

 解説1.

 まず について、このベクトルの絶対値は 1 ,偏角は であるから、

    

 である。これはすぐに読み取れてほしい。

 

 問題は  である。まず絶対値の方は、「たわむことなく糸がほどける」という条件により

    (線分 QP の長さ) = (弧 AQ の長さ)

 であり、円の半径は 1 だから、(弧 AQ の長さ) = = である。よって の絶対値は である。

 次に偏角についてだが、上の図にあるように、点 Q を通り  軸に平行な直線 を引こう。  とのなす角が の偏角である。

 まず平行線の同位角の性質より、

    (直線 OQ と とのなす角) = =

 である。一方円の接線の性質より、

    (直線 OQ と直線 QP のなす角) =

 である。したがって、 の偏角は である。

 

 以上より、

    

 である。

 

 よって、

    

 すなわち

    , 

 である。

 

 ちなみにこのような点 P のえがく図形を involute という。日本語で言えば「伸開線(しんかいせん)」だ。読んで字のごとく、巻きつけた糸をほどいたときの、糸の端の軌跡だ。下の図では、糸を1周分ほどいたときの involute の概形を示した。

 ありがちな入試問題としては、ここでやったように involute の媒介変数表示を求めた後、いろいろな部分の面積を求める、というのが多い。

 筆者の調べた限りでは、この曲線を題材にした最近の入試問題としては、

  01芝浦工業大、03早稲田大、04金沢大(後期)、05北九州市立大

 と、かなりの数に上る。

 

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