トレミーの定理の証明〜2〜

 

<トレミーの定理>
円に内接する四角形ABCDにおいて、
 AB・CD+AD・BC=AC・BD
が成立する。

トレミーの図

 「四角形が円に内接する」ことの必要十分条件は、角度について次の図のようなことが成り立つことである。

円周角の定理の逆円に内接する四角形の性質の逆

 以上のことをまず最初に思いついたので、証明のためには単に三角形の相似をたくさん作ればいいと思っていた(たとえば左の図において、△ABE∽△DCBなど)。

 しかし、それでは積AB・CDやAD・BCが作れず手が止まってしまう。参考書などを見れば解法は載っているのだろうが、それもくやしいので自力で悩むこと約一時間。ようやく次の解答にたどり着いた。おそらくどの参考書にも同じような証明が書いてあるのだろう。

 

(証明)AB= ,BC=, CA=, AD=, また、BD=, AC= とおく。

 トレミーの証明の図001

とおく。△ABDと△BCDで余弦定理を用いて、
  ・・・(1)
  ・・・(2)
(1)(2)より、 が得られ、これを(1)または(2)に代入して整理すると、
 を得る。

 トレミーの証明の図002

一方、 とおく。△ABCと△ACDで余弦定理を用いて、
  ・・・(3)
  ・・・(4)
(3)(4)より、 が得られ、これを(3)または(4)に代入して整理すると、

 を得る。

 

したがって、

(証明終) 

 

 ちなみに何のことはない、〜1〜で紹介した「正統派」の解法そのものが、証明のヒントとなった。その証明をすぐに思いつかなかったことは、なかなかセンスが悪かったなと思う。

 ただ面白いもので、単純にいろいろ思案しているだけのときは解ける手ごたえがないのだが、この証明を思いついたときは、「これは合っている!」という確信があり、すらすらと鉛筆が進んだ。これも恐らく以前コラムで書いた、「間違ってるオーラ」によるものだと思う。つくづく不思議なものである。

 そして、参考書を見ずに考える、という過程は受験生時代を思い出して非常に勉強になった。

 

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