番外編 場合の数の使い分け(その2)

 

解答1.(ア)(1) 64  (2) 32  (3) 7  (4) 4   (イ)(1) 62  (2) 31  (3) 5  (4) 3

 

解説(ア)

(1) (重複順列)

 玉は区別できるので、a, b, c, d, e, f と名前がついているとする。また、箱も区別できるので、X, Yと名前がついているとする。

 a をX, Yのどちらに入れるかで2通り、以下 b から f も同様に2通りずつあるから、

    通り

 

(2) (重複順列)

  まず(1)と同じように、とりあえず箱に名前がX, Yがついているとして数えると、(1)の64通り。その中で、左が箱X、右が箱Yとして、

  (a, b, c) (d, e, f) と (d, e, f) (a, b, c)
  (a, b, c, d) (e, f) と (e, f) (a, b, c, d)
  (a, b, c, d, e) (f) と (f) (a, b, c, d, e)
  (a, b, c, d, e, f) () と () (a, b, c, d, e, f)

・・・など、ちょうど2組ずつが、箱の名前の付け方が異なるだけで、分かれ方が同じである。したがって(1)で数えたものを2!=2組ずつ一まとめにすると考えればよく、答えは、

   通り

 

(3) (重複組合せ) 今度は玉が区別できないので、順列 ,  組合せ は使えない

 6個の同じ○と、2種類の箱X, Yに分けるための仕切り|1個を一列に並べると考える。

  ○○○○○○|

同じものを含む順列の考え方で、答えは、

   通り

仕切りより左が箱Xに入る個数、右は箱Yの個数と考える。たとえば、

  ○○|○○○○ ならば、Xに2個、Yに4個

  |○○○○○○ ならば、Xに0個、Yに6個

ということである。

 

(4) (地道に数える) さらに箱も区別できなければ、分かれ方を地道に数え上げるしかない。

 (6, 0) (5, 1) (4, 2) (3, 3) の4通り

 

 

(イ) どの箱にも少なくとも1個の玉が入るので、「(ア)で数えたものから何も入っていない箱を除く」と考えるのが基本。

(1) (重複順列) (ア)(1)で数えた64通りから、「すべての玉が箱Xに入る」「すべての玉が箱Yに入る」の2通りを引くと考えればよく、答えは

   通り

 

(2) (重複順列)(イ)(1)で求めた62通りを、(ア)(2)と全く同様に、2組ずつ一まとめにすると考えて、答えは

   通り

 

(3) (重複組合せ) (ア)(3)と全く同様に、6個の同じ○と、2種類の箱に分けるための同じ仕切り|1個を用意する。ただし0個の箱があってはならないから今度は、○だけ一列に並べておき、その両端を除いたスキマに仕切り|1個を入れる入れ方を考える。

  ○∧○∧○∧○∧○∧○  ← |

上のスキマ∧のうちに1つに対し、最高1個|を入れる入れ方を考える。5個の∧から|を入れる∧1個を選べばよく、答えは、

   通り

 

(4) (地道に数える) これも(ア)(4)と同様に、分かれ方を地道に数え上げるしかない。

  (5, 1) (4, 2) (3, 3) の3通り

 

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※(ア)(1)は次のように考えることもできる。

箱Xに入る玉の個数は 6個 または 5個 または ・・・ または 0個 だから、

 

ちなみにこれは、二項定理

  

で、 としたものになっている。

 

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 重複順列、重複組合せという言葉が登場した。単なる「順列」「組合せ」との違いをしっかりつけられるようにしようという意味で、筆者は「選ぶ(並べる)物の使用回数に制限があるか否か」「並べるのか選ぶのか」に注意しようと言うことがある。

 

 

並べる

選ぶ

使用回数の制限あり

順列

組合せ

使用回数の制限なし

重複順列

重複組合せ

 

 「選ぶものの使用回数」について、次の具体例をよく読んで違いを理解してほしい。

 

◎使用回数が決まっているものの例

(1) 10個の異なる色の玉から3個を取り出して並べる
(2) 10人の人から4人を選ぶ

 など、そもそもすべてが異なるものを選ぶ(並べる)場合。一つ一つが一回ずつしか使えないため。(1)は並べるので順列 通り、(2)は選ぶだけなので組合せ 通り。

(3) 赤球2個・白球3個・青球4個を一列に並べる

 など、同じものが何個かずつあっても、それをすべて使う場合。同じ物を含む順列の考え方で、 通り。

 

◎使用回数が決まっていないものの例

(1) 1, 2, 3の数字を繰り返し用いて5桁の整数を作る
(2) りんご・みかん・ぶどうがたくさんあり、5つの果物入りの箱を作る

 など、回数の上限に制限がない場合。(1)は並べるので重複順列 通り、(2)は重複組合せで、使わない果物があってもいいなら (ア)(3)と同じ考えで 通り。どの果物も必ず1つは使うならば(イ)(3)と同じ考え方で 通り。

 

 難しいのは、「同じものが何個かずつあるのに、それをすべて使うわけではない場合」である。例えば「赤球2個・白球3個・青球4個のうちから5個を選んで一列に並べる」など。こういった場合、

 (i)まず何を使うか選び (ii)その後で並べる

というように順を追って考えていくのがよい。

 以下、選んだ玉の個数を(赤, 白, 青)で表す。それらの並べ方の場合の数を、→の後ろで計算した。

  (i)選ぶ    (ii)並べる
  (0, 1, 4)  →  
  (0, 2, 3)  →  
  (0, 3, 2)  →  
  (1, 0, 4)  →  
  (1, 1, 3)  →  
  (1, 2, 2)  →  
  (1, 3, 1)  →  
  (2, 0, 3)  →  
  (2, 1, 2)  →  
  (2, 2, 1)  →  
  (2, 3, 0)  →  

したがって、5+10+10+5+20+30+20+10+30+30+10=180 通り。

 ということで次は、 「順列」「組合せ」「重複順列」「重複組合せ」の4つについて、もう少し詳しく考えてみよう。

 

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