直交行列による対称行列の対角化(その2)

 

Step2 行列Bによって表現される二次曲線

 行列 は対角化されて行列 になった。そこでとりあえずとして、行列 により表現される二次曲線がどのようなものなのかを考えてみる。

  

であったから、 すなわち  となり、これは焦点,長軸,短軸2の楕円の標準形である。行列 が対角化できた( とできた)ことで、二次曲線の特徴が非常に良く捉えられた。

 

Step3 行列Aによって表現される二次曲線

 さらに との関係を求めよう。 であったことより

  

となる。ただし3番目から4番目への変形は、

  

      

であることによる。この変形により、

  

であるといえて、さらにこの式により、 の世界で基本のベクトルであるが、 の世界ではどのようなベクトルなのかが分かる(注)

  ,  

すなわち、Step1で求めた2つの固有ベクトルそのものを基本のベクトルとして、新たな座標軸と考えたということである。この新たな座標軸のもとでは、二次曲線はによって表される。

 

Step4 行列Pの特徴

 最後に行列Pの特徴について考えよう。

  

と書ける。これは、 が原点を中心としたの回転移動であることを表している。とみなす、ということは座標軸が回転したということである。

 楕円001  →  楕円002

 したがってStep3で得られた事実を言い換えれば、楕円を原点を中心に回転させれば、二次曲線を表す、ということである。そしてその とは、行列 を作ることで分かってしまう。実質、行列 を作った時点で2次曲線の特徴が、「回転」という非常に視覚的な操作によりきちんと捉えられる、ということなのだ。

 実は、以下のfactが成り立つ。

 

<fact>

として対称行列 を対角化したとする。このとき、

と、回転行列の形に表すことができる。

●二次曲線  は、原点を中心に標準形  をθだけ回転させたものである。

 

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