手を動かせ!

 

 計算が出来るようになるには、結局のところいかに量をこなすか、しかないと思う。授業中、問題を解いている最中によく「もう少し簡単に計算する方法はないですか?」と聞いてくる生徒がいる。そこでその生徒の解いているノートを見せてもらう。

 だいたいのところ、そのノートというのは計算を7〜8行している途中で、中学くらいまでは計算するといってもせいぜい5行くらいだったし、あんまり長く続くと不安になって、うんざりしてしまうのだろう。

 で、よく見てみるとそういった場合、大抵彼らの計算方針は正しい。そして、それ以上簡単にする方法も、ない。

 ただ、彼らに足りないのは最後まで計算をやりぬく体力。もしも、出来れば大学受験でも数学を武器にしたい、と少しでも考えるならば、どんな形であれ、その計算をやり抜いて、とりあえず答えを出す、という作業を続けて欲しい。で、間違えたら直して欲しい。そして一番大事なのは「間違えていたとしても、その計算を消さない」ということ。あとでもう一度計算して正しい答えが出たときに、自分がどこで間違っていたのかが見える。

 本当に、高校数学というのは内容の難しさもさることながら、計算という点だけで見ても、中学とは比較にならないほど量が多い。だから余計に今までとのギャップに苦しむ人が多いように、俺には見える。

 間違え方はその人その人で確実にクセがあって、なかなか直らないのだけど、少なくとも意識することは出来る。そしてなるべく意識しながら計算を続ければ、慣れてくるし、苦じゃなくなるし、間違えなくなってくると思う。

とにかく面倒臭がらずに、ひたすら手を動かして一つ一つの計算を終わらせて欲しい。それが結局のところ、一番の近道だと俺は思う。

 (2004.03.26)

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