イマセン第21回 動くものがたくさんあるときは 〜その6〜
「まずは動くものを1つだけにして、他のものはいったん固定する」
という考え方、実感していただけただろうか。
ところで今回の問題1では、正四面体という対称性があったからこそ、図形的に解くことができた(すなわち、点 Q をどこにとったとしても、PQ の長さを最小にする点 P の位置は変わらないということ)。
もしもその対称性が崩れてしまった場合、図形的な考察は困難となる。参考までに次の問題を最後に挙げておこう。ベクトルを用いて解いてほしい。略解も載せておく。
問題. OA=OB=OC= ,
,
である四面体 O-ABC がある。
,
,
とおくとき、次の問いに答えよ。
(1) 内積 ,
,
を求めよ。
(2) 辺 AB 上を点 P が、辺 OC 上を点 Q がそれぞれ動くとき、線分 PQ の長さの最小値を求めよ。
(3) (2)における線分 PQ の長さが最小になるとき,PQ⊥AB,PQ⊥OC が成り立つことを示せ。
略解
(1) ,
(2) 問題1と同様に をおいて、
を計算すると、
=
である。 とおくと、
と平方完成できる。,
であることから
すなわち
のとき の最小値は
である。したがって、PQ= の最小値は
=
である。
(3) (2)の結果より、
と表され、,
であることが計算によって確かめられる。
したがって、PQ⊥AB,PQ⊥OC が成り立つ。
※(2)の結果は、
「 を最小にする
の値が
によって決まる」
すなわち
「PQ の長さを最小にする点 P の位置が、点 Q の位置によって変わる」
ことを表している。このことが、この問題に対する図形的な考察を難しくしている。
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